エアコンの馬力とは?業務用エアコンの能力・冷房負荷計算・選定基準を徹底解説
エアコンにおける「馬力」とは
「馬力(Horse Power, HP)」はもともと動力を表す単位ですが、日本の空調業界では業務用エアコンの冷房能力を表す便宜的な指標として使われています。
一般的には以下のように換算されます。
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1馬力 ≒ 2.8kW(冷房能力)
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暖房能力は冷房能力よりやや大きく設定される(3.2〜3.6kW程度)
👉 つまり「3馬力の業務用エアコン」とは「約8kWの冷房能力を持つ機器」を指します。
JIS規格と「馬力」の違い
家庭用エアコンは「JIS C 9612」に基づいて「適用畳数」で能力が表記されています。
一方、業務用エアコンはJIS規格よりも実務的な“馬力”表記が主流で、建築・設備業界ではこちらが一般的。
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家庭用 → 畳数(6畳用、20畳用など)
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業務用 → 馬力(1.5馬力、3馬力など)
馬力ごとの能力早見表(冷房時)
| 馬力 | 定格能力(kW) | 消費電力の目安(kW) | 適用坪数 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| 1.5馬力 | 4.0〜4.5 | 1.3〜1.6 | 10〜15坪 | 小規模オフィス・応接室 |
| 2.0馬力 | 5.0〜5.6 | 1.6〜2.0 | 15〜20坪 | 小規模店舗・学習塾 |
| 2.5馬力 | 6.3〜7.1 | 2.0〜2.4 | 20〜25坪 | 20人規模のオフィス |
| 3.0馬力 | 7.1〜8.0 | 2.3〜2.8 | 25〜30坪 | 美容室・飲食店 |
| 4.0馬力 | 11.2 | 3.6〜4.2 | 35〜40坪 | 中規模店舗 |
| 5.0馬力 | 14.0 | 4.5〜5.5 | 40〜50坪 | オフィス・飲食店 |
| 8.0馬力 | 22.4 | 7.2〜8.5 | 70〜80坪 | 大型オフィス |
| 10馬力 | 28.0 | 9.0〜11.0 | 90〜100坪 | 工場・体育館 |
※「消費電力の目安」はCOP(成績係数)4.0前後で計算
馬力選びの基本:冷房負荷計算
本来、業務用エアコンの能力選定は**冷房負荷計算(冷房負荷・暖房負荷の算定)**によって行います。
負荷計算では以下を考慮します。
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Q1:外皮負荷(外壁・窓からの熱取得)
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Q2:内部発熱(人・照明・機器からの発熱)
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Q3:換気負荷(外気取り込みによる熱負荷)
人体発熱の目安
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成人1人当たり 約120W(着席時)
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飲食店厨房スタッフ:約250W
照明・機器発熱
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蛍光灯1本(40W) → 約40Wの発熱
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デスクトップPC1台 → 約150〜200W
👉 これらの合計負荷を基に「必要能力(kW)」を求め、それを馬力換算して最適なエアコンを選定します。
実務での選定ポイント
1. 建物用途による違い
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飲食店:厨房熱が大きいため、同じ坪数でも+1馬力程度を追加
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美容室:ドライヤー・照明熱が大きく、客回転率も考慮
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オフィス:PC・コピー機などOA機器発熱を計算に加える
2. 天井高
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標準:2.4m
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高天井(3m以上):熱分布が不均一になるため、能力増強+吹き出し方向の工夫が必要
3. 気候条件
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名古屋・大阪など猛暑地 → 冷房能力を重視
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北海道・東北 → 暖房能力を重視(寒冷地仕様推奨)
馬力と電気代の関係(COPとAPF)
エアコンの効率は「COP(成績係数)」や「APF(通年エネルギー消費効率)」で示されます。
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COP = 冷房能力 ÷ 消費電力
例:8.0kW ÷ 2.0kW = COP 4.0 -
APF:1年間の冷暖房運転を想定した効率
👉 馬力が大きいほど電気代も増えるが、馬力不足で常時フル稼働する方が電力効率は悪化するため、適正馬力を選ぶのが省エネにつながります。
まとめ
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エアコンの「馬力」は業務用能力を示す単位で、1馬力=約2.8kW。
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適正馬力の選定には**冷房負荷計算(外皮・内部発熱・換気負荷)**が必須。
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用途・人数・天井高・地域特性を考慮することが、電気代削減と快適環境の両立に直結します。
「畳数換算」だけでなく、建物条件に基づく正確な能力選定を行うことで、無駄な電気代や馬力不足による不快感を防げます。業務用エアコン導入時は、必ず専門業者に負荷計算を依頼するのがおすすめです。













